REM - ! - 1雪19→24話





RS進度:第24話


雪の身体構造変化は一瞬だったのでしょうか。
いえ、違うと思います。
そんなことが起これば死んでしまいそうです。
一月掛ったとしても危ないです。
昼も夜もわからない塔の一角に身を潜め送る日々の中、雪は断続的に襲い来る死ぬほどの苦しみにのたうちまわりうめき声をあげていたのではないでしょうか。
ただ、死の可能性を凌駕する生の意思を持っていたかも知れません。
その時を共に過ごす1号を守る為に。
雪の変化が始まるのは1号が徐々に回復し、起き上がって動けるようになるのと入れ替わりだったのではないかと予想します。


・・・

「今の俺はどんな姿をしている?」

「白い翼を持った白い馬、ペガサスを見るのは初めてだけど
 こんなに美しい生き物だとは思わなかった。」

「おまえにとっては初めてじゃないことの方が少ないんじゃないか。
 …そうか、完全に変わったか、人間じゃなくなったか。」

「雪が人間であったことには変わりない
 こうして言葉を交すことができる
 雪の心は変わらずにここにある。」


・・・

塔6665階に二人が姿を現す前に、雪の変化が完了してから幾ばくかの時間が必要だったと思うのです。
何故なら、雪が新しい体に慣れて制御できるようになる必要がありますから。
そうでないと戦線に復帰できないですし、lukaのことも救えなかったでしょう。


・・・

鎖を掴み手繰り意のままに動かすことの出来た手指は失われ、硬い蹄に変わっている。
何も手にすることができない、それでも自失せずにいられたのは一人じゃなかったから。一連のことを知っている1号がいたから。

「鎖を口にくわえてみたらどうだ?」

「ああ…」

返事を終えないうちに、1号は雪の足元で絡まる鎖を取り上げ、端を拭いて雪の口に押し入れた。
釈然としないながらも雪は鎖を噛み締め、御する訓練を黙々と行う。


・・・

初めはそれこそ四足で立っていることすらままならない状態だったのではないでしょうか。姿勢を維持し、歩くことを体得しなければなりません。
まだ回復しきっていない1号がそんな雪を根気づよく支えて、いえ、支え合っていたのでしょう。

そんなことを考えたり夢見たりしている訳でございます。