REM - ! - luka小話





 今日も疲れた…
 塔の階段を昇れば昇るほど寒くなってくる。
 ドルバン鉱の床はかたくて冷たいし。
 でも、みんなで固まって毛布を被ってると、少し、暖かい。

 ルインはよく寝てるわね。
 私とピアーの間で、まるで挟まるみたいに。
 丸くなって、本当に猫みたい。
 お肉が好きってところも猫っぽい。
 でも、1番の大好物はピアー一家の手作り肉まんだって、いつも嬉しそうに言ってたっけ。

 ピアーはみんなの回復係で、いつもピンチの所を助けてくれる。
 キャンプでは、真っ先に安全な場所を確保して、テキパキと火をおこして食事の準備を進めてくれる。
 本当に面倒見がよくて、私にもお兄さんがいたらこんな感じなのかしら。
 ピアーの弟妹達がちょっとうらやましい。

 お兄さんといえば、もう一人いたわね。
 シキ……1番向こうの端で眠ってる。
 さっきから、ぴくりとも動かない。
 こんなお兄さんはいやかも。
 食事はいつも一人でカプセルばっかり、せっかくみんなで用意したご飯を食べればいいのに。
 体力が無いのも絶対そんな食生活の所為よ。
 塔に昇るって言い出した本人なのに、足が追いつかなくて、結局ベガの背に乗せられっぱなしだし。
 頭はいいのに、困ったところが多い人。
 そんなところが気になる……つい口を出したくなってしまうというか。

 …あの雪の実の兄、なのにね、何故か激しい憎しみが湧いてこない。
 1号への仕打ちだって許せないはずなのに、どうして。
 でも、1号はその方が喜ぶかも知れない。
 復讐は中断しようって、言ってたから…

 1号…回復してるかしら…
 どうか無事でいて、お願い……!!








 ああ…やっと眠気の波が来てくれたわ。
 まぶたが下がる。

 ベガの大きな体に守られて
 みんなで並んで寝ていると
 あたたかくて
 ほんの短い間だけど
 錯覚だって解っているけど
 家族で過ごしているみたいな
 夢を…見る……の………