「あなただあれ? 輪廻さんを知らない?」

「リンネ? 知らねえな。あんたこそ誰だよ」

「私? 私は紗智、輪廻さんを探しているの、ずっと……
 でも、どこにもいないの……」

「ん……リンネにサチって、まさか!」

「どうしたの? 輪廻さんのことを知っているの?」

 雪は暗く険しい表情になった。

「……あんた、自殺したんだってな」

「なんで、私のことを知っているの!」

「夫があんな目に遇ったんだ、少しは気持ちもわかる。けどな……」

 雪は紗智のことをきっと睨み付ける。

「道連れにしたな……」

「何、道連れって、なんでそんなに怒ってるの?」

「はぁ? とぼける気かよ、胎ん中の子はかわいくなかったってのかよ、
 あんたの勝手ってわけか、けど……あいつは……」

「何……何を言って……まさ……か……」

「おい、あんたまさかって……知らなかったのか!」

「あの時、私……輪廻さんの子供が……? う……ううっ……」

 紗智は涙ぐむ。

「本当……なの……? 私……知らなかった……」

「妊娠の極初期だったってことなのか……?」

「ねぇ、教えて。
 あなたが知っている私と輪廻さんとその子について、教えて……!」

「聞いて楽しい話じゃねえぜ」

「私は知りたいの……」



「そう……あの子は生きているのね……」

「おそらく……俺が知る限りは、ここに来ることになる前までは
 一緒にいた」

「あなたのお兄さん達が命を繋いでくれたのね……」

「助けたなんてもんじゃねえよ、さっきも言ったとおりだ」

「それでも……ありがとう」

「……」

「輪廻さんはやっぱり転生していたのね……わかってはいたけれど、
 諦めきれなくてずっと探して……でも……もう逢えないのね……」

「かも知れねえな。悪いが転生したその先は知らねえんだ」

「どこかで別の人になって生きていてくれるなら……
 それも幸せなことね」

「……」

「あなたがさっき怒っていたのって……
 あの子のために怒ってくれたのかしら?」

「いや、俺は……」

「ありがとう」

 紗智は微笑んだ。

「今度はあなたの話を聞かせて」

 短い交流の後、雪はシキを探すために紗智と別れた。












余談(反転)

さっちゃんはたくましくて強い子なので未だに意外なのですが
輪廻さんを二度も失うなんてたえられなかったのかな・・・と思ったりします


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