ある日テントで着替える雪と居合わせた1号は、雪が上衣を脱いだところで気になることがあって、彼の胸元を覗き込んだ。
「なんだよ?」
それは見付からず、1号は更に顔を寄せて肌を触って探した。
「何やってんだよ、触んな!」
雪は1号の手をはたく。
「前にオレが撃った銃の痕、残ってないんだな」
「ん? ああ……メタモルフォーゼする前は残ってたっけな……、
変異で消えたみたいだ」
「そうか……確かに他の傷も無いようだな」
「おまえのは派手に残ったまんまだな……
研究所で治療したらこんなにならずに、きれいに戻っただろうに」
そう言いながら雪は1号の脇腹を見下ろし、元の組織と新しい組織の境を指先でそっと撫でた。
「別にいい。見た目の問題だけだ。困っていることは無い」
「ま、戻りたくはねえか。これは再生してなんとかなったけど、
あんまり無茶すると自力で治せずに死ぬぞ」
「雪……時々心配してくれたな」
「は? なんのことだ」
「馬になっている時に」
「……そりゃあよかったな、俺は覚えてねぇけど」
いつものように雪は口の端を吊り上げて笑った。
でもその前に一瞬だけ、気まずそうな顔をしたのを1号は見逃さなかった。
雪は時々不器用だ。そんな風に思い、1号の頬は緩みかけた。
REM - !
余談(反転)
雪は過去に、研究所で1号が大怪我をしたのを見たことがあるんじゃないかなと思うのです
再生能力を知っていますので
例えば輪廻転生の能力を強制的に発現させるべく瀕死実験とか……
雪の銃で撃たれた傷の痕は
・傷は深いけれど、面積は小さそうですね
・進歩した医療では、後も残さずすぐにきれいに直っているかも知れません
・或いは傷は残っていて、変異の後も残ったまま・・・だとしたら、ときめきの元ですね
・夢がいっぱいです
ところで2011夏祭りの1号さん(RS相談室)は、『この傷痕凄いだろ』、『こんな凄いのが残っていてオレかっこいい』というノリを感じましてね
なんというか、男の勲章ってやつです
↑の時じゃなくて素の1号さんも、ちょっとこんな風に思っているところがあったら可愛らしいです