下着姿になった雪の腰周りを珍しそうに、興味深そうに1号が見ている。
「どうした?」
「いや……雪のはいてるパンツの形が変わってると思った」
「紐パン、知らないのか」
「聞いたことがある……そうか、これがそうなのか。
……実際に見るのは初めてだ」
「ふぅん……」
1号の表情と言動が雪には可笑しい。
「歩いている時に落ちたりしないのか?」
「意外に落ちないな。
第一落ちるようだったら機能的に下着として成り立たないだろう」
「確かに」
「ちなみにここをこうすると……」
雪は片側のリボン結びの一端を指で摘まんでひっぱってみせる。
「こうなる」
言葉とともにするりと解けて、薄い布が滑って位置を変えた。
「な、簡単に脱げるだろ?」
目を見開く1号を、雪は誘う。
「こっち、引っぱってみるか?」
1号は返事も忘れて手を伸ばす。
軽く引くと少し抵抗を感じたが、力を強めると先程雪がしたのと同じように呆気なく解けて、そのことに感動をした。
「すごいな、紐パンは普通のパンツに無い機能が付加されているんだ」
「そうだな、その上装飾性にも遜色が無い」
「装飾……?」
「おまえはそういう感覚は無いか……
デザイン、見た目の価値ってことだ」
「う……ん、あまり分からない、気にしない……」
「……って割には、今は中身よりも下着の方が興味深そうだ」
「あ……済まない。後は布を退ければつま先までくぐらせなくても……」
1号は辛うじて覆い隠していた布地に手を掛けて、そこで手を止め顔を赤らめる。
「なんでそこで赤くなる……」
「色々と考えが巡ってしまった……恥ずかしい」
「聞かせろよ、1号」
雪は1号がどんな突拍子も無い事を言ってくれるだろうかと期待を抱いて促す。
「……雪としようとしていたことを思い出して、
その直後にまたパンツのことが気になってしまった……」
「今度は何を思ったんだ?」
「普通のパンツでも、足元まで脱がないでも出来る。
股の布だけ横に寄せればいい」
「それも正解だな、非常に手っ取り早い。
だが考えてみろ、その間引っ掛かり続けるし、
はいてる方としてはあんまり汚れると気持ち悪い」
「……納得した。やはりこれには固有の価値があるんだな」
「まぁ、そういうのが良いって場合もあるだろうけど、
とりあえずそれは置いといて……」
雪は下腹部で留まっていた1号の手を取り上げる。
「さて、気分も変わっちまったし!
今日はこのままパンツ講座でも続けるか?」
「雪……」
1号は戸惑ったような声を出す。
「紐のやつだけじゃなくて多種多様にある。見た目も、形も、機能も。
おまえの知らない世界を見せてやる。……きっと楽しいぜ」
無駄な知識だけどな……と、雪は心の中で付け加えて笑顔を見せる。
「持ってるのか?」
「少しな。他はデータで見せる」
1号が食いついてきたことを確認して、雪は両サイドの紐を結び直した。
今日はもういい、1号の好奇心を満たしてやりながら反応を愉しむことにしよう――雪はそう決めた。
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