「1号、あの時のことを覚えてるか?
おまえが脱走してしばらくぶりに再会した時……
おまえさ、俺の心臓をちゃんと狙って撃ったか?」
「狙ってた……」
「別にそれをいまさら責めようとか、どうこういうわけじゃねえぜ。
そうか……てっきりおまえはわざと外したんだと思ってたぜ」
「あの場面で、何のために……?」
「さぁな。それにしても狙ってあれか……迷いがあったな」
「そんなことは……なかったと思う」
「知ってるんだ、おまえは訓練を受けてる、あの距離で外しやしない。
一般兵は基本的に一撃だろ、俺だってあの時は気付いてなかった。
それとも逃げてるうちに腕が鈍ったか?」
「何が言いたい」
「いや……運が良かったってのと、
今だから言えるが、おまえの気持ちを考えると…… 」
◇
「あの女にやられた……チクショウ、すっげえ不覚だ、
寧ろ自分が腹立たしい、情けねえ!」
「恨んでいるか、憎んでいるか?」
「なんともいえねえな……
俺の気の緩みもあったし、ずっと一緒に戦ってきた仲間だろ……
あいつは最後まで受け入れられなかったらしいが。
……おまえの大事な、おまえが命を賭けても守ろうとした女……。
そういや俺のことは助けてくれなかったな。
……おまえにとっちゃ、一番がluka。
俺は何番目なんだろうな、
おまえが必要としてたらしい俺ってヤツは」
「雪……意地の悪いことを言うな」
「ハハ、わざとだ、でも事実だろ。
だいいちおまえに助けられるなんて、期待してねえし」
「誰が一番とか、わからない、考えたことがないんだ。
オレは、雪も助けたかった」
「沈むな。てめえの命も守れなかったおまえが、
俺を守ることなんて出来なかっただろうさ」
「けっこう言うな……」
「そう思うなら馬鹿なことをやったって反省するんだな……
おい、泣くな」
「泣いてない……雪の言うとおりだ、俺の選んだ道がこの結果だ」
「やりたいようにやった結果に文句言うな
……って言いたいところだが、以前の俺ならな。
お互いこんな身の上だ、愚痴ぐらいいくらでも聞いてやるよ。
俺だって……因果応報ってやつなんだろうから……」
「lukaの気持ちも、雪の気持ちも知ってる。
だから、なんて言ったらいいかわからない……」
「あー、別に構わねえよ」
「……雪、さっき言ったな、雪は何番かって。
じゃあオレは雪の何番だ?
雪の一番だってシキだ、オレじゃない」
「当然過ぎることを聞くな、調子に乗ってんじゃねえ。
兄さんは別格、特別、絶対」
「知ってる……」
「でも、兄さん以外の奴ん中じゃ……おまえも十分特別だ、
いろんな意味でな」
「なんだか……そういわれると、うれしいな」
「 」
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