「ピアー…、相談したいことがあるんだ……いい?」

「どうした、言うてみい」

「うん……あの……」

「言いにくいんか? ん、おまえ様子がおかしいぞ、
 なんか顔赤くねーか、熱は? どっか悪いんか?」

「悪くない……ただ…このままじゃつらい……」

「悪くないって様子じゃねーぞ、ほら、熱測らせろ、でこ出せ。
 ……んー、少しありそうじゃな」

「ピアーの手が、僕にっ…………ピアー!」

「なんした、抱き着いたりして、つらくて怖いんか?」

「ありがとう、ピアー……でも撫でられると…」

「嫌か?」

「違う、逆なんだ……ごめん、退くよ」

「もういいんか? もっと頭撫でてやるぞ、好きじゃろ」

「ううん、いい…………。僕……発情期が来たみたいなんだ…」

「は? おまえが…はつ…ええっ!?」

「驚いたよね…僕自身もそうなんだけど」

「ほんまか」

「………………」

「こら、見詰め過ぎじゃ」

「はっ……ごめん………………」

「普通じゃねーな、ほんとなのか…?
 でも今までこんなことなかったはずじゃが…隠してたんか?」

「ううん、多分こっちに来てから初めて。
 人間になったから周期が長くなったのかもしれない…」

「それを俺に相談っちゅーのはどうしてじゃ?
 どう困ってどうして欲しい?」

「僕は……ピアーの子供が欲しい!
 ピアーがどう思うか分からないけれど、僕はもう…
 抑えが効かなくなって来て、どうしたらいいかわからない」

「……俺…か……。うーん……
 発情期ってもんだったら……相手はメスじゃねーんか?
 確かに俺はいつも近くにいるけんど」

「いま体がこんな風になってるけど、誰でもいいわけじゃない。
 好きな相手とがいいんだ…」

「好きって…………ルインの言うんは、
 俺のことは…友達とか家族みたいなもんじゃろ?」

「うん、そうだよ」

「それは違う、こ…子供を作ろうって関係じゃない」

「どう違うの? 分からない」

「あー……まいったな、どう言ったらええんじゃ…」

「人間だから結婚していないとだめなの?」

「そーじゃねーんだ、ああもうっ!
 いや待て、それ以前に俺とじゃ子供は出来んぞ、
 男同士じゃねーか」

「男の人が子供を産むことはあるよね?」

「それはすっげー稀な話じゃ」

「でも、無いことはないよね」

「近くに悪い例がなー、……恨むぞジスロフどもめ」

「可能性が無いわけじゃないなら、それでいい。僕には十分だ」

「いや、やっぱり子供が欲しいんなら女を相手にしろ。
 好きなやつはおらんのか?」

「好きな女の人………ピアーの妹達は好きだよ。
 でも考えてなかった」

「チビどもか!
 あいつらもルインが好きで懐いてるが…まだ早いか……
 いやいや、ルインの気がそんなに無いのに相手をさせたら
 お互い良くないに決まっとる! 他にはおらんか?」

「子供が欲しいって思う人はいない、思い浮かばない。ピアーだけだ」

「……長年一緒にいて女っ気は無かったよな、ルインは。
 俺はおまえのことを子供だと思っちょった、
 でも…それなりに年頃なんじゃなぁ……」

「そうみたいだね……」

「このまま我慢して、こ…子作りせんで堪えられんか?
 発情期が終わるまで乗り切れんか?」

「わからない……でも、だんだん理性が弱くなって、
 ピアーを無理に襲ってしまうかも知れない、そうしたら
 噛んだり引っ掻いたりして怪我をさせてしまうかも」

「俺がターゲットなんは確定か!
 あああ、どないせーっちゅーんじゃ……」

「迷惑…? 僕とではいや?」

「そんなこと言うとらん! ただ……俺とルインがなぁ………
 子供は多分できんじゃろうが……
 他の人間にも迷惑を掛けんで済むかもしれんが……
 ……はぁ、そんなに好き好きって光線出すなや!」

「え?」

「見過ぎじゃ、おまえの目がすっげーそう言うとる。
 尋常じゃねぇし……あんまりそんな目で見られっと…
 俺までおかしくなりそうじゃ」

「大丈夫?」

「さーなぁ…もうよう分からんようになってきたわ。
 ルイン、俺とすればおさまるんか? 気ぃ済むんか?」

「うん、そうなると思う。……相手をしてくれるの?」

「上手く行くかはわからんけどな……
 っと待てよ、大事なことを聞いてからじゃ。
 おまえは子供が欲しいちゅーたな、どっちなんじゃ?
 産みたいんか、産ませたいんか?!」

「僕は……ピアーの子供を産みたい!」

「そうか……おまえはオスじゃけど…それはもうええか。
 分かってんじゃろうな、それはおまえが抱かれるってことじゃぞ」

「分かってる、そうしたい」

「…………」

「ピアー、顔が赤いよ」

「ならんでか!
 まぁ、そういうことなら絶対に応じられねーっちゅーことは無い。
 ただ俺が出来るかどうかはわからん、男相手じゃな…」

「どうにかなるよう、僕ががんばる」

「……ハハ、そうまで言われちゃーな。
 ……おまえのために観念するしかないんかのぅ…」

「………ありがとう……ピアー!!」

「わっ、いきなり抱きつくな!」

「嬉しくて、つい……」

「あー、俺もうおかしいわ…
 おまえのせいじゃぞ、ルイン……ぁ、む…」

「ん……ンン……ピアー……はぁっ」

「っ……盛りのついた猫め……ホントにしょうがないやつじゃ……」

「ピアー、もっと口を開けて…」

「俺はまだ面喰らっとるんじゃ…………はぁ。
 もうおまえに任す! 好きにせえ!」

「わかった、僕に任せて。がんばってピアーの子供を身籠るから!」



★EDN










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