REM - ! - pre - 湯船嫌い(1) - (2)
「あ―――――ああっ」
わざとらしく声を出してため息をつく。
(一瞬前まで、キスされたところまではそんな気分じゃなかったのに直後の余計な一言のせいでざわついた。
そういうモードになっちまった、お前のせいだ!)
悔し紛れに巻き込んでやることにする。
1号はそんな気分にはなってないようだ。
(……としたら、仕掛けるか)
無言で1号の頭を引き寄せて唇を奪う。
舐めて促すとすぐに口を開ける、そういうキスだ。
(粘膜で触れ合う感触を十分に味わってそういう気分になれ!)
――と思いつつ、自分の方が先に体温が上がりそうだ。
気をつけて自分を押さえつけつつ、口だけでなく鼻や頬や胸を触れ合わせながら体でキスを続ける。
欲が膨らんでいくことに焦れかけてきた頃、ふと味の変化に気が付いた。効果が出て来たようだ。
唾液や雰囲気がそういうときの匂いに変わった。
(やっと反応したな)
内心で小さな達成感のようなものを覚える。
ここぞとばかりにたたみ掛ける。
位置を換えて1号の背を壁に押し付け、余計なことを言い出さないうちにと覆い被さる。
既にある程度のかたさを持っていた性器を1号の下腹部に擦り付ける。
手足を絡めたり気が向いた場所にキスしながら思うままに自分のいやらしい姿を見せ付けて煽ってやる。
そうするうちにかたさはいっそう増していき、もう先走りが出ているはずだが湯に溶けているのかわからない。
体液で滑るのとは違った感覚で肌が触れ合い、流れて浮きながらも興奮が高まっていく。
背中や顔を触れられて、独特の熱に浮かされた1号の顔を見て、それらがいちいちうれしい。
1号の性器にはわざと手を触れずにいたが、狙い通り。もうかたくなって当たっているのが解る。
(この流れだと俺が下か……別にどっちでもいいけどな)
誘うように、或いは自分が欲しいから……というのはあからさまに認めたくは無いが、
その先端を自分の受け入れる部分で遊ぶように撫でる。
(その気にさせるのはもうこれで十分だ、あとはもう欲にまかせてやるだけ――)
そんな風に思ったところ、突然に強い力で腰と腿を下方へ引き寄せられ1号が性急に侵入してこようとする!
「ちょっ、待て! 待てってコラ!!」
制止を聞かない、暴れても体ごと掴まれていて振りほどけない。
そうこうするうちに先端がますますめり込み、強引に開かれる感覚に体が悲鳴を上げる。
「やめろって、聞けよ!!!」
咄嗟に肩に思いっきり噛み付いた、その拍子にお湯を飲んでしまいむせる。そこでやっと1号が止まった。
顔を見合わせると、大いに不満げだ
「雪が誘ったんじゃないか」
「そりゃそうだけど、元はといえばおまえが……いやまぁそれはいい
とにかくいきなり入れようとすんな! 突っ込まれる方の体の都合を考えろ、ほぐすとか
それにここじゃやりづらい、続きは部屋に戻ってからだ」
「やめるんじゃないんだな、解った」
そういうやいなや立ち上がった1号に強い力で腕をつかまれ、引き上げられた。
一瞬くらりとする、長く浸かったせいで湯あたりでもしたか。めまいはすぐに落ち着き安堵したのもつかの間。
やや殺気立った様子に気圧されて腕を引かれるまま、濡れた体を拭きもせずに浴室を後にすることになった。
悪くない。