島での暮らしを幸せだと感じるようになった1号さんですが、両親のことを思うと自分だけ幸せでいいのかと思うことがあるそうです


「あー……じゃあこう考えてみろ。
 おまえが父親で、そうだな……俺がおまえの息子だとする」

「オレが雪の父さん?!」

「仮の話だ! で、おまえに子供がいるとして、俺はその役な。
 考えやすいように言ってるだけだ。
 父親であるおまえがもう死んでて、その死に方が理不尽だったとしてだ。
 息子が生きてて幸せだって言ってたらどう思う? 想像してみるんだ」

「えっ……と……」

「いいか、言っておくが演技だからな。でも聞いてみろ」

 雪はあらためて1号の目を見る

「父さん、俺は今幸せだよ。でも俺だけ幸せでいいのかな……」

 1号はハッと顔色を変えた

「良いに決まってる! もっと幸せになれ!!」

「……答えは出たな」

「でも……オレは父さんの本当の思いは分からない」

「親が生きてたって自分とは他人なんだ、ほんとの気持ちなんて分かるか!
 ただなぁ、親子なんだぜ、考えや思いは似ていてもおかしくねえよ。
 それに、おまえが親だったら、子供に幸せになるな、とは
 言わねえってことだろう」

「うん…………。自分の子供か……
 実際に出来てみないと分からない事は沢山あるんだろうな……。
 雪、なんだか子供が欲しいと思ったぞ」

「ほーぉ、おまえもそういう願望を抱くか。でも相手がいなきゃなぁ」

「雪がいる」

「……いや、突っ込みどころは色々とあるけどな。
 それって、どっちが産むんだ?」

「雪じゃないのか?」

「なるほど……。じゃあ、おまえが産むとしても欲しいか? 出来るのか?」

「そうだな、どっちが産んでもオレと雪の子なんだろう、
 だったらどっちでもいい」

「……頼む、少し頭を冷やして物を言え」





   ◇





[ こんなこともあるかもしれない ]


×××ではなく子作りをしようと張り切りだす1号
毎日、早く子供が出来ないかなと嬉しそうにしています
雪はこいつなに夢みたいなこと言ってるんだ…と思う一方、
自分が人間に戻ることが出来たくらいだし、ここは願いが叶う島だ、もしかしたら……という考えも頭を過りました

そんなある日つわりが起きて妊娠に気付くという寸法です
1号は手放しで大喜び
雪は大慌て、二人共経験も知識もないのでどうしようと焦ります
出産・育児の本は合成に出てくるのか?!
そうだ、ドクターがいた! 交渉して助けてもらおう
亡霊たちにも話を聞いてみよう

……いざとなったら前向きでした










REM - !




余談(反転)

2014年夏、『無人島日記』執筆中に出来た副産物です
健全なのがもう一つあります →
副産物